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舞台『哀しい予感』


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吉本ばななさんの『哀しい予感』を読んだのは
中学生の頃だった。
読んだ後の特別な余韻は今でもはっきりと憶え
ている。
それから私の中で『哀しい予感』は特別な本に
なった。






あまりに強く、美しい原作がどういうかたちで舞
台になるのか、ドキドキしながら見た。
弥生役は市川実日子さん、ゆきの役は藤井か
ほりさん、哲生役は加瀬亮さんに演出は塚本晋
也さん。

真っ黒な劇場から物語は始まる。
弥生役の市川実日子さんは完璧に『哀しい予感』
を、“弥生”を体現していた。
ほぼ出ずっぱりの舞台で、まるでそこに弥生がい
るみたいに。
上手いとか美しいとかぴったりとかそういうレベル
ではなく、ただただそこに弥生がいて哀しい予感の
世界がひろがっていました。
こんなにわくわく・ドキドキとした夜は久し振りです。
吉本ばななさんの言葉の持つ力を、そのまま転写
したかのような素晴らしい舞台に、片時も目が離せ
ませんでした。
人間、素晴らしい奇跡のようなものを目撃すると魂
が洗われるのだな、と思いました。
見終わった後、心の中に大切なモノが生まれて、世
界が広がったのを感じました。
残念ながら東京公演は終了してしまいましたが、大
阪公演があるのでお近くの方、見逃してしまった方は
是非に!
とてもいい舞台です。
それにしても原作者の吉本ばななさん、この舞台嬉し
いだろうなぁ・・。
こういうものを生み出す為に人間は生かされて、小さな
事でも世界は確実に変っていくということを強く思った夜
でした。
by ruinyoro | 2007-01-22 22:01 | 映画音楽舞台展覧会建築他


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